再会、富貴堂へ

富貴堂2代目、藤井 宏さんに出会ったのは、実は14年前でした。まだ私たちが広島在住の頃、母からデパートの催しで新潟鎚起が来ているので行ってみてはと、足を運んだのがお会いしたきっかけでした。

デパートでの催事を終えた藤井さんは、広島市内から1時間半ぐらいかかる、その頃作業場のあった岩国の山の中まで訪ねてくださりました。わざわざ、疲れているはずなのに、どこまで作れるかわからない一個人のところまで来てくれたということだけでも、心に残るお人柄でした。藤井さんはさらに、新潟・燕に帰られてから、“その節はおせわになりました。……”と御手紙と新潟のお酒などを送ってくださったのです。でも本人は、そのことを忘れていらっしゃいました笑。

それから、色々あり、忘れることはないにしても連絡を取ることはなく、時間は過ぎて行きました。

そして先月10月、14年ぶりに藤井さんとの再会のため富貴堂へー。 いきなり、台風の日、家族で作業場に訪れた私たちはちょっと変な家族(笑)。最初は、あの時の者だと気がつかれなかったのですが、話をすると覚えていてくれました。「たまに、どうしてるかな・・・」と思い出してはいたとのこと。

どなたもいない作業場で、鎚起のこと、道具のこと、燕三条の現状よもやま話、ものづくり全般・・・途中、お昼ご飯もはさみ、色々と話してくださいました。

「知ってることは教える。自分も同じように教えてもらって来た。底辺を広げていかないと、この世界は無くなっていくから」そう藤井さんが話された言葉が印象に残ります。

今では、3代目の息子さんが手堅く頑張っていらっしゃる富貴堂。料理研究家の栗原はるみさんにも信頼を置かれ、日本国内だけでなく台湾でもこれから活躍する場を広げていかれるそうです。”信用を売りに” そう口にする藤井さん。使い手から信用される物作りを続けていくことはもちろんですが、尊敬する人たちには共通して、”この人を信用したい”と思わせる人柄があるように思います。

長居する間に、台風の風も強くなって来て、また再会できることを約束してお別れしました。

帰り際に手渡してくれた魚沼産コシヒカリと、友人が作られているというmade in 燕三条お米とぎ用ボール。このボールは、帰宅してから毎日かかさず使っていますが、かなり気に入っています!

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